蒼士が帰ってきたのは、夜の十一時を少し過ぎた頃だった。夕飯はいらないと聞いていたので先に済ませたが、杏は眠くてたまらず、リビングのソファでテレビを観ながら眠気と戦いゆらゆら揺れていたところだった。
彼は部屋へ入るやいなや、杏をガバっと抱きしめた。
「やったぞ! 杏! 夢みたいだ!」
「お、おかえりなさい、蒼士さん」
勢いに気圧されてしまう。蒼士はさけぶように「ただいま!」と答えた。それは舞台俳優の腹式呼吸の発声だったので、耳が一瞬キンとした。
「な、何があったの?」
ぎゅうっと抱きしめたまま離さない蒼士に杏が聞くと、更にギュッと腕に力を込められた。少し苦しい。
「それが! ずっと尊敬して憧れていた舞台監督から、出演のオファーがあったんだ!」
「え、すごい! おめでとう!」
俳優としての弛まぬ努力が実を結んだんだ。子どものように喜ぶ蒼士の背に腕をまわし、杏もギュッと抱きしめた。
「ありがとう! ヤバい、今までずっと我慢してたから、嬉しさが止まらない!」
「良かったね! 私も嬉しい! でも、ちょっと苦しい……」
杏の言葉に、締め付けていた事にやっと気付いて、蒼士は腕を緩めて身体を離した。
「うっわ! ごめん、杏!」
やっとちゃんと息が吸える。
「今日はオレンジをたっぷり使ったケーキを作ったんだよ。お祝いに、一緒に食べよう」
二人で紅茶とケーキを用意して、リビングで食べる事にした。
「うっま! やっぱり杏のケーキは最高だな!」
「ありがとう」
ニコニコしながら本当に美味しそうに食べる蒼士を見ながら、杏もオレンジケーキを口に運んだ。うん、美味しく出来た。
食べながら蒼士は、オファーされた監督と舞台の事を杏に話した。
彼は部屋へ入るやいなや、杏をガバっと抱きしめた。
「やったぞ! 杏! 夢みたいだ!」
「お、おかえりなさい、蒼士さん」
勢いに気圧されてしまう。蒼士はさけぶように「ただいま!」と答えた。それは舞台俳優の腹式呼吸の発声だったので、耳が一瞬キンとした。
「な、何があったの?」
ぎゅうっと抱きしめたまま離さない蒼士に杏が聞くと、更にギュッと腕に力を込められた。少し苦しい。
「それが! ずっと尊敬して憧れていた舞台監督から、出演のオファーがあったんだ!」
「え、すごい! おめでとう!」
俳優としての弛まぬ努力が実を結んだんだ。子どものように喜ぶ蒼士の背に腕をまわし、杏もギュッと抱きしめた。
「ありがとう! ヤバい、今までずっと我慢してたから、嬉しさが止まらない!」
「良かったね! 私も嬉しい! でも、ちょっと苦しい……」
杏の言葉に、締め付けていた事にやっと気付いて、蒼士は腕を緩めて身体を離した。
「うっわ! ごめん、杏!」
やっとちゃんと息が吸える。
「今日はオレンジをたっぷり使ったケーキを作ったんだよ。お祝いに、一緒に食べよう」
二人で紅茶とケーキを用意して、リビングで食べる事にした。
「うっま! やっぱり杏のケーキは最高だな!」
「ありがとう」
ニコニコしながら本当に美味しそうに食べる蒼士を見ながら、杏もオレンジケーキを口に運んだ。うん、美味しく出来た。
食べながら蒼士は、オファーされた監督と舞台の事を杏に話した。


