あなたは私のオランジェットの片割れ

 蒼士を好きなヒロインが、ライバル的な女に意地悪されたり、蒼士がハニートラップを仕掛けられたりでドキドキハラハラ。ヒロインの子がかわいそうで、お酒を飲んでいるのもあいまって、つい感情移入してしまう。

 ドラマも後編に入った頃だった。主人公の蒼士とヒロインが、前編の最後でやっとお互いの想いに気付いて心が近付いた。だが後編になってすぐに、ライバルの女が蒼士に嘘を吹き込み、ヒロインとの仲を裂いてしまう。そして蒼士とライバルの女はベッドへ……

「えー! ちょっとちょっと! 蒼士さん、こんな女と寝ちゃうんですか?! 酷いよ!」

 隣に座っている蒼士に、つい文句を言ってしまう。彼はフライドポテトを摘みながら笑う。

「この女に騙されてるんだから、しょうがない。これは俺であって俺じゃないから」

「それはそうですけど……」

 なんとなく納得いかないけれど、杏もポテトをぱくり。映像は、ちょっと濃厚なラブシーンになっていた。

「……そういえば、こういうシーンって、どこまで本当なんですか?」

「どこまでって?」

 分かってるくせに、わざととぼけて聞き返してくる。意地悪だ。

 テレビでは、ベッドで二人がもぞもぞと営んでいる。

「だ、だから、こういう……ラブシーン……」

 顔が熱い。言い終わる前に、自分の顔が真っ赤になったのがわかる。でもこれはきっと、今飲んでるワインのせいだと杏はこじ付けた。

「うーん、まあ、キスは本当にしてる事が多いけど。他は、カメラに映るところとか、布団被ってそれらしき動きするだけとか。極まれに、きわどい映像撮りたいって注文してくる監督もいるけどな」

「そうなんだ……」

 なんだかホッとしたよえなそうでないような……。演技でも好きな人が他の女性とそういう事するのは、あまりいい気持ちにはなれない。