でも次に声を出したのは、桐生ではなく、蒼士だった。
「――弁明はありません。それに、後悔もしていません」
舞台俳優持ち前の腹式呼吸の、ハッキリとした発音で言い切った蒼士は、真っ直ぐに桐生を見つめていた。
桐生は今度は額に手をあてた。怒り顔から、困り顔になっている。
「じゃあ、どう責任を取るつもり? 場合によっては、舞台の降板や契約の破棄もあり得るわよ。そうなったら、劇団の上層部も黙ってないだろうし」
芸能人にはよくあるトラブル。でも、やり方によっては、蒼士は完全に仕事を失いかねない。
「桐生さん、交際を公表する、っていうのはダメかな……」
(交際公表?!)
蒼士の提案に杏は驚いてしまった。
あの日、キスをしてお互いの気持ちを確認し合ったつもりだが、その後は告白とか付き合うとかそういうのは何もなくて、解散。蒼士も仕事の途中だったから、なにも言わずにそちらへ戻って、なんとなく宙に浮いたみたいな関係になってしまっているけど……。
日本中に交際を公表するっていうのは、杏は想像もしていなかった。そんな恥ずかしい事になるなんて。
(芸能人って大変なんだなあ……)
なんて、他人事みたいに考えてしまう。
「『彼女とは、真剣にお付き合いをしています』とか、そういう感じ。こそこそするより、俺は、正々堂々と公にしたい」
「蒼士と杏ちゃんは、もうそんな関係なの?」
「いや、実はまだ、付き合ってすらいない。でも、真剣に交際したいと思ってる」
蒼士は真剣な表情でそう言うと、隣に座っている杏を見た。少し恥ずかしかったが、杏も同じ想いなのを伝えたくて、蒼士から目を離さないで頷いた。
「――弁明はありません。それに、後悔もしていません」
舞台俳優持ち前の腹式呼吸の、ハッキリとした発音で言い切った蒼士は、真っ直ぐに桐生を見つめていた。
桐生は今度は額に手をあてた。怒り顔から、困り顔になっている。
「じゃあ、どう責任を取るつもり? 場合によっては、舞台の降板や契約の破棄もあり得るわよ。そうなったら、劇団の上層部も黙ってないだろうし」
芸能人にはよくあるトラブル。でも、やり方によっては、蒼士は完全に仕事を失いかねない。
「桐生さん、交際を公表する、っていうのはダメかな……」
(交際公表?!)
蒼士の提案に杏は驚いてしまった。
あの日、キスをしてお互いの気持ちを確認し合ったつもりだが、その後は告白とか付き合うとかそういうのは何もなくて、解散。蒼士も仕事の途中だったから、なにも言わずにそちらへ戻って、なんとなく宙に浮いたみたいな関係になってしまっているけど……。
日本中に交際を公表するっていうのは、杏は想像もしていなかった。そんな恥ずかしい事になるなんて。
(芸能人って大変なんだなあ……)
なんて、他人事みたいに考えてしまう。
「『彼女とは、真剣にお付き合いをしています』とか、そういう感じ。こそこそするより、俺は、正々堂々と公にしたい」
「蒼士と杏ちゃんは、もうそんな関係なの?」
「いや、実はまだ、付き合ってすらいない。でも、真剣に交際したいと思ってる」
蒼士は真剣な表情でそう言うと、隣に座っている杏を見た。少し恥ずかしかったが、杏も同じ想いなのを伝えたくて、蒼士から目を離さないで頷いた。


