近距離で、バチリと目が合った。綺麗なアーモンド形の目が、じっと杏を見つめている。
そして、ゆっくりとそれが近付いて――
(え? 待って、待って?! え! これって……!)
真っ赤になった杏がぎゅっと目を閉じた瞬間――
ピリリリリ! という電子音が部屋に響き、驚いた二人は同時に体を離した。
鳴っていたのは蒼士のポケットに入っていたスマホだった。
「――はい、……えっ……うん、そう……」
蒼士がスマホに出ている間、杏の心臓は騒がしいくらい音を立てていた。ドキドキを通り越し、ドッドッ、と誰かに心臓を拳で殴られているみたい。顔だって真っ赤になっているけど、これは熱のせいじゃない。
(今、何が起こった?! あのままスマホが鳴らなかったら、蒼士さんと……キス、してたかもしれない……?)
心も頭も、大パニックだ。
「――ああ、はい、分かった……」
蒼士が通話が終わりこちらを見る。
「ヤバい、桐生さんにバレた。今、アパートの前に車で来てるって。俺、行かなきゃ」
「あ、うん……」
蒼士の態度があまりにも普通だったので、今の出来事が夢か妄想だったのではないかとも思う。だけど、心臓の騒音はまだ治まらない。今の何だったの? なんて聞く事も出来ず、杏はベッドの上で膝を抱えた。
蒼士はベッドを降り、ささっと帰り支度を済ませる。
「じゃあな。早く元気になってまたお菓子レッスン再開してくれな」
とても蒼士を見られない。杏は自分の膝を見つめながら言った。
「あ、はいっ……! お、オランジェットもまた作りますね……!」
「楽しみにしてる」
嬉しそうな声でそう言うと、蒼士は帰っていった。
部屋で一人になった杏は、はあ、と大きく息をはく。あんなに高かった熱は、どこかへ吹き飛んでしまっていた。
◇◇◇
そして、ゆっくりとそれが近付いて――
(え? 待って、待って?! え! これって……!)
真っ赤になった杏がぎゅっと目を閉じた瞬間――
ピリリリリ! という電子音が部屋に響き、驚いた二人は同時に体を離した。
鳴っていたのは蒼士のポケットに入っていたスマホだった。
「――はい、……えっ……うん、そう……」
蒼士がスマホに出ている間、杏の心臓は騒がしいくらい音を立てていた。ドキドキを通り越し、ドッドッ、と誰かに心臓を拳で殴られているみたい。顔だって真っ赤になっているけど、これは熱のせいじゃない。
(今、何が起こった?! あのままスマホが鳴らなかったら、蒼士さんと……キス、してたかもしれない……?)
心も頭も、大パニックだ。
「――ああ、はい、分かった……」
蒼士が通話が終わりこちらを見る。
「ヤバい、桐生さんにバレた。今、アパートの前に車で来てるって。俺、行かなきゃ」
「あ、うん……」
蒼士の態度があまりにも普通だったので、今の出来事が夢か妄想だったのではないかとも思う。だけど、心臓の騒音はまだ治まらない。今の何だったの? なんて聞く事も出来ず、杏はベッドの上で膝を抱えた。
蒼士はベッドを降り、ささっと帰り支度を済ませる。
「じゃあな。早く元気になってまたお菓子レッスン再開してくれな」
とても蒼士を見られない。杏は自分の膝を見つめながら言った。
「あ、はいっ……! お、オランジェットもまた作りますね……!」
「楽しみにしてる」
嬉しそうな声でそう言うと、蒼士は帰っていった。
部屋で一人になった杏は、はあ、と大きく息をはく。あんなに高かった熱は、どこかへ吹き飛んでしまっていた。
◇◇◇


