あなたは私のオランジェットの片割れ

 開いていたパソコンのデータを保存し、「じゃあ、行ってきます。すみません」と隣の和田に小声で言って立ち上がる。

 その時少し、立ち眩みをしてしまった。あっ! と思ったら遅かった。机に掴まろうとした手を空振りしてしまい、体勢を崩し盛大に転んでしまった。静かに出て行こうと思っていたのに台無しだ。フロアの人全員の注目を集めるしまつ。

「葛原さん、大丈夫?!」

「あ、はい……すみません」

 すぐに立とうとしたけど、足に力が入らない。駆け寄ってくれた和田が不審に思ったのか、杏のおでこに手をあてた。

「熱い! 葛原さん、凄い熱出てるよ!」

「えっ……?」

 和田の言葉に驚いて、杏も自分のおでこに手をあてた。自分ではよく分からないが、いつもより熱い気がする。自覚したとたん、ますます体に力が入らない。

 そうこうしているうちに、課長から強制帰宅の指示を出されてしまったのだった。





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