あなたは私のオランジェットの片割れ


「そうですね、来ると思います」

「そっか、じゃあ、チーズケーキとか作れる?」

「いいですよ。じゃあ、夏なので冷やして作る、レアチーズケーキにしましょうか。蒼士さん、チーズケーキ好きなんですか?」

「いや、前に斗馬が好きって言ってたから」

 ……こういうところ、なのかもしれない。

 からかわれたり、困らされたりもするけれど、蒼士の事を嫌いにはなれない。それは、こんなさりげない優しさがあるから。

 俳優として人気があるのも、顔が良いだけじゃなくて、彼の人となりにみんな惹かれているからなのかもしれない。

「じゃあチーズケーキで決定な。今度こそ、俺、寝るから」

 次のレッスンを、レアチーズケーキに決めると、蒼士は隣の部屋へ行ってしまった。

 その彼の背中を、杏は見えなくなるまで目をそらせなかった。





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