金曜日。杏が仕事から帰り、お風呂上がりにストレッチをしようとしていた時だった。最近、お菓子を作る機会が増えて、必然的に食べる量も増えて……体が丸くなり始めてきたような気がするのは気の所為ではないかもしれない。夕飯前に少し運動するつもりだった。
帰ってきた時にその辺に放り出していた会社用の鞄。その中の、入れっぱなしだったスマホが音を立てた。ストレッチを中断して、取り出したスマホを見てみると、『須直斗馬』の名前。
(斗馬くん? なんだろう? ……また、何かあるのかな)
前回まんまと嵌められたのを思い出し、少し警戒しながら通話ボタンをタップした。
『あ、くずあん? 久しぶり!』
久しぶりってほどじゃないけど……、そう思ったが、杏は口には出さなかった。
「どうしたの? また何か用事?」
言葉に少しトゲが出てしまったかもしれない。でも前回があんなだったから仕方ない。
斗馬もそれを感じ取ったのだろう、ハハハとスマホの向こうで笑った。
『そんなに警戒するなよ。大丈夫、この前の蒼士先輩とのお菓子レッスンどうだったか聞きたいだけだから』
「……それならいいけど」
杏のホッとした返事に、斗馬はまた笑った。
『それで、どうだった? ちゃんと出来た?』
「うん、大丈夫。マネージャーの桐生さんも、東雲さんも良い人だったよ」
そういえば……「蒼士って呼んで」なんて言われたけど、結局一度も呼ばなかった。からかうために言っただけだろうし。
でも、ちょっとドキドキした……。
「そっ、それでね、最初だから簡単なクッキー作る事にしたんだ。初めてなのに東雲さん、凄く上手でね、形も綺麗な美味しいクッキーが出来てね、それでね――」
帰ってきた時にその辺に放り出していた会社用の鞄。その中の、入れっぱなしだったスマホが音を立てた。ストレッチを中断して、取り出したスマホを見てみると、『須直斗馬』の名前。
(斗馬くん? なんだろう? ……また、何かあるのかな)
前回まんまと嵌められたのを思い出し、少し警戒しながら通話ボタンをタップした。
『あ、くずあん? 久しぶり!』
久しぶりってほどじゃないけど……、そう思ったが、杏は口には出さなかった。
「どうしたの? また何か用事?」
言葉に少しトゲが出てしまったかもしれない。でも前回があんなだったから仕方ない。
斗馬もそれを感じ取ったのだろう、ハハハとスマホの向こうで笑った。
『そんなに警戒するなよ。大丈夫、この前の蒼士先輩とのお菓子レッスンどうだったか聞きたいだけだから』
「……それならいいけど」
杏のホッとした返事に、斗馬はまた笑った。
『それで、どうだった? ちゃんと出来た?』
「うん、大丈夫。マネージャーの桐生さんも、東雲さんも良い人だったよ」
そういえば……「蒼士って呼んで」なんて言われたけど、結局一度も呼ばなかった。からかうために言っただけだろうし。
でも、ちょっとドキドキした……。
「そっ、それでね、最初だから簡単なクッキー作る事にしたんだ。初めてなのに東雲さん、凄く上手でね、形も綺麗な美味しいクッキーが出来てね、それでね――」


