撮影では完成したお菓子は別に用意されていて、杏が作業した分は撮影が終わるともう不要な物になっていた。
(なんだか、もったいないな……)
お菓子作りが大好きなのに、その途中で手離してしまったそれらは、杏にはまるでお菓子の屍のように見える。
……少し悲しい。
だから、丁度それを片付けに来たスタッフに思わず声を掛けていた。
「あの! この作りかけの材料、捨てるんですよね? でしたら、いただけませんか?」
「……ああ、ほほえみ製菓の会社の方ですよね? これ元々、御社から提供してもらったものなので、そちらがよろしければかまいませんよ」
杏はすぐに課長に許可を貰って、『お菓子の屍』を持って帰ることにした。
生クリームやケーキの作りかけはもう無理だろう。少し乾いてしまったクッキーの種とタルト生地は大丈夫そう。杏はそれらをラップで包み、大事そうに鞄にしまった。
(帰ったら、美味しいお菓子にしてあげるからね)
その様子を、帰り支度を終えた蒼士が、じっと見ていたが、杏は気付かなかった。
◇◇◇
(なんだか、もったいないな……)
お菓子作りが大好きなのに、その途中で手離してしまったそれらは、杏にはまるでお菓子の屍のように見える。
……少し悲しい。
だから、丁度それを片付けに来たスタッフに思わず声を掛けていた。
「あの! この作りかけの材料、捨てるんですよね? でしたら、いただけませんか?」
「……ああ、ほほえみ製菓の会社の方ですよね? これ元々、御社から提供してもらったものなので、そちらがよろしければかまいませんよ」
杏はすぐに課長に許可を貰って、『お菓子の屍』を持って帰ることにした。
生クリームやケーキの作りかけはもう無理だろう。少し乾いてしまったクッキーの種とタルト生地は大丈夫そう。杏はそれらをラップで包み、大事そうに鞄にしまった。
(帰ったら、美味しいお菓子にしてあげるからね)
その様子を、帰り支度を終えた蒼士が、じっと見ていたが、杏は気付かなかった。
◇◇◇


