未熟なスマホ退魔師は過保護な幼馴染に溺愛される




 結珠と龍真は退魔師だ。
 彼女らが属する組織では専用のスマホを使って退魔をする。スマホがない時代には紙の御札で退魔を行っていたが、結珠はその時代を知らない。高齢の退魔師は今でも紙の御札で退魔をしているという。

 低級、中級、上級と階級があり、さらに一から三に分かれている。結珠は低級の二、下から二番目のランクで、龍真は上級の一、上から三つ目のランクだった。
 退魔の対象はあやかしのみ。幽霊や神様がらみの事象は対応外だ。そもそも幽霊や神様がいるのかどうか、彼女らは知らないのだが。
 龍真とはお(となり)同士だった。

 お隣とは言っても結珠の家は普通の民家で、龍真の家は豪邸(ごうてい)だった。
 通う学校も塾もなにもかもが違う。お隣でなければ出会うことなどなかった。
 龍真は結珠を妹のようにかわいがり、一緒に遊んでくれた。

 龍真の家系は代々が退魔師だったのだが、あるとき、龍真の退魔デビュー戦で、間違って結珠が結界に入りこんでしまった。
 ありえないミスだった。
 結珠はケガを負い、以来、龍真はそれまで以上の過保護さを見せた。

 結珠が龍真に憧れて退魔師を目指したときにも、彼が必ず退魔に付きそうという条件つきで許可されたほどだった。
 その条件は退魔協会にも通達されており、長く退魔協会に貢献してきた藤小路家の願いならばと承認されている。

 だから結珠はいつまでたってもひとりで退魔をさせてもらえない。相手がどんなに弱い退魔であっても。
 むしろ弱いあやかしばかりを割り当てられている気がする。龍真が手を回しているに違いなくて不満だった。

 ひとりで退治して一人前だと認められたい。
 それが結珠の願いだった。