朝露に濡れた花。





ひらりと舞う桜の下で友達と一緒に写真を撮る彼は儚くて、彼を見れるのもこれが最後かと思うと早くも涙腺が緩みそうになる。



「西山くん、ちょっといいかな。」



集団の中から彼を連れ出して、人目につかない木陰まで連れて行く。



「どうしたの?結衣」



「ちょっと。こういうところでは ”星山先生” って呼んでっていつも言ってるじゃん。」



「はいはい、すいませーん。」



制服を着た彼を、まだ18の彼を見ながら思う。



大人の私が、まだ高校生の所詮まだ子どもの、彼に手を出して良いはずがなかった。




「もう卒業かー早いね」



桜を見ながらボソリと呟く彼。



初めて会った高1の時よりは幾分か大人になったが、それでも高3なんてまだまだ子どもだった。



「卒業おめでと」



私も桜を見ながらボソリと呟く。



「何今さら。んふふ、大学楽しみだなぁ。でも結衣に毎日会えないのは寂しい。

 卒業してもいっぱい会おうね。」





「そのこと、なんだけどさ、、」