春の訪れに晴れ模様

男の人が振りかざした拳を私は顔で思い切り受け止めた。ガツン、とくる痛み。私を殴ったのをみた男の人たちは少し怯んだだけで、私のことは気にせず晴、と呼ばれた彼を殴ろうとする。

「この人には手を出さないでください。これ以上手を出すようでしたら容赦しません」

私はヒリヒリと痛む頬を抑えながら、晴さんの前で手を広げた。知らない人でも見捨てちゃダメだって昔母に教わった。

「えー？まぁ、女の子が俺に勝てるわけないからね。早く退きなよ。痛い思いしたくないでしょ？」

「別に痛い思いなんてするつもりないです。手を出すのはやめてください」

私はキッと目の前にいる男の人3人を睨む。多分高校生くらいで威圧感がある。少し怖かったけど、私は自分に「大丈夫だ」と言い聞かせて奮い立たせた。