春の訪れに晴れ模様

私が思いっきりアスファルトに倒れ込んでいると、千彩さんが私の手首を掴んだんだ。

「っえ……」

「美春ちゃんっ……逃げなきゃ!」

千彩さんが潤んだ瞳で私を見つめている。そして私の手首をまた引いて走り出した。

私の足はもつれてしっかり動かない。だけどもう一度あの男に追いかけられたら今度こそ終わりだった。

無理やり足を動かして千彩さんについて行った。



「っは……う……」

「ごめんなさいっ……ごめん。私のせいで!本当にごめんなさい。迷惑ばっかり……」

私は額を濡れたタオルで抑えた。もちろん頭からは血が流れていた。でも千彩さんには傷がひとつも付いていない。