バイト先の黒宮さんがだいぶコワイ




「ダマされた~!!!!」

 わっとテーブルに突っ伏すあたし。

「つまり要約すると、面接のときに会った超絶不愛想男子が陽菜の王子様だったわけね。よかったじゃん。その人が陽菜の教育係なんでしょ?」

 ずずっと学食のきつねうどんをすする真子を恨めしげに見上げる。

「そうだけどさぁ。あんなの詐欺だよぉ」

「男目当てじゃなかったんじゃないの?」

「う、そ、それは……」

 すっと真子から目を逸らす。


 カフェバイトがしたかったっていうのは本当だよ?

 でも、そこに一歩踏み出せたのは王子様がいたからで……。

 なのに、黒宮さんがあの王子様と同一人物だなんて、詐欺以外の何物でもなくない⁉


「でも、やっぱりしごできな人なんでしょ?」

「それはまあ……認めるけど」


 他のスタッフからも頼られていて、店長も黒宮さんのことを信頼してるっぽかった。

 黒宮さん、昼間はあのカフェで働いて、夜は専門学校でカフェ経営について学んでるんだって。

 亡くなったおじいさんの喫茶店を復活させるのが夢なんだとか。

 もちろん本人に聞いたわけじゃなく、ウワサ好きのパートさんに聞いた話なんだけどね。


「まあ、いいじゃん。なんか楽しそうだし」

「もうっ、他人事だと思って」

「だって他人事なんだもーん」

 楽しそうに言う真子を、あたしは恨めしげに見つめた。