バイト先の黒宮さんがだいぶコワイ

 そのまま二時間ほどお片付けに没頭し。

「ふぅ。これでちょっとは人間の住める——」

「人間の住めるような環境じゃなくて悪かったな」

 背後で低い声がする。


 おそるおそる振り向くと、怖い顔の黒宮さんが壁に手をついて立っていた。


「人の家で勝手になにやってる」

「ごめんなさい」


 しゅんとうなだれるあたしに小さくため息を吐くと、「店長からの差し入れをくれ」とだけ言って、部屋の方へと戻っていった。


「はい、今すぐ!」


 冷蔵庫から出したコーンスープはレンジで温め、サンドイッチとともにローテーブルの前に座っている黒宮さんのところへと運ぶ。


「お待たせいたしました!」

「その居酒屋店員みたいなテンション、いい加減なんとかしろ」

 元気よくあたしが言うと、黒宮さんが苦笑いする。

「ご、ごめんなさい」


 でも黒宮さん、あたしに初めて笑ってくれたかも!

 呆れ笑いかもだけど。

 それでもお腹の底からなんだかうれしさが込みあげてくる。


 しっかり寝て少し体調がよくなったのか、黒宮さんは差し入れのサンドイッチをあっという間に平らげ、コーンスープもしっかりと飲み干した。


「じゃあ、そろそろ帰りますね」

「ああ。その……いろいろ助かった。ありがとう」

「いえっ、あたしの方こそ、勝手にすみませんでした」

 ぺこっと頭を下げると玄関へと足早に向かう。


 えへへっ、黒宮さんに初めてお礼言われちゃった。

 なんだかニヤニヤが止まらない。

 こんな顔、黒宮さんには絶対に見せられないよ。