バイト先の黒宮さんがだいぶコワイ

「ま、待ってください!」

「なに? まだなんか用?」

「えっと……そうだ。なにかあたしにできることありませんか? 飲み物とか、足りてます?」

「問題ない。早く帰ってくれ。以上だ」

 そう言って三度黒宮さんが扉をぐいっと引く。


 けど、病人に負けるあたしじゃない。

 必死に扉を閉めさせまいと抵抗する。


「あーもうっ、こういうときくらい素直に頼ってくださいよ。ちょっと入らせていただきますね」

 黒宮さんを押しのけ、勝手に家にあがり込む。


 今も無抵抗だったし、黒宮さん、やっぱりすごくツラそう。

 一人暮らしなんだよね?

 こんなの、放っておけないじゃない。


「黒宮さんは寝ててください。足りないものがあれば、買ってきますから」

「余計なことは……するな」

 そう言いながら、黒宮さんの体がぐらっと傾く。

「黒宮さん⁉」

 咄嗟に黒宮さんの体を支える。


 お、重い……。


「しっかりしてください。寝室はどこですか?」


 意識が朦朧としているのか、黒宮さんが素直によろよろと奥の方を指さす。


 なんとか黒宮さんをベッドに寝かすと、はぁ~と大きく安堵の息を吐く。


 途中であたしが力尽きるかと思った……。


 っていうか、黒宮さん、意外と生活力のない人なのかな?

 それとも、体調不良で片付けまで手が回ってないだけ?


 部屋の中をぐるりと見回すと、床には衣類が散らばり、キッチンには使用済みの食器が積み上がっている。