バイト先の黒宮さんがだいぶコワイ

「あー……今日は空いてないみたいだね。残念だけど、また来るよ」

 入り口近くのテーブルを一瞥すると、残念そうな笑みを浮かべる。

「園部様、大変申し訳ございません」

 黒宮さんが深々と頭を下げると、「いや、いつもすまないね。ありがとう」と言って園部さんは帰っていってしまった。


 こんなにたくさん席は空いてるのに。

 それに黒宮さんも。どうして帰しちゃったんだろ?


「園部様は、あそこの席じゃないとダメなんだよ」

「どうしてですか?」


 いくら常連さんだとしても、そんな特別扱いはダメだと思うんだけど。


「奥様が車椅子でな。月一の通院後の楽しみに毎月寄ってくれているんだ」

「車椅子だからって……あ」


 そっか。ここの店内、通路があんまり広くないから……。


「ごめんなさい! 今からでも入り口のお客様に移動してもらって——」

「できるわけないだろうが」

「……すみませんでした。あたしの勝手な判断で」

「いや、説明を怠った俺の責任だ。白石は今日のことを覚えておいてくれればそれでいい」

「……」


 あたしがいつもダメダメだから?

 なにも期待されてないから怒ってもくれないの?


 そのことが悔しくて悲しくて。

 零れそうになる涙を必死に堪えた。