「どうする? 警察に協力するかい?」
「行くに決まっているじゃない。ナゾを解き明かすんだから」
「やる気はあるみたいだね。そうそう、ネコのロボットのウィルスが何かわかったんだ」
お姉さんは当たり前のように言っているけれど、わたしにはどうやってコンピューターウィルスの原因を突き止めたのか想像もつかない。
「逆探知をしたんだよ。今じゃそこいらじゅうに通信設備があるだろう。例えるなら……ゲームかな。どこにいても世界中の人とオンラインでつながれる。その対戦相手を調べるようなものさ」
「すごいね」
すごいとしか言いようがない。さすが警察!
「その犯人は今回の強盗と関係があるかもしれないんだ。この国はとても平和に見えるけれど世界中からサイバー攻撃を受けているんだ。僕たちのお金や個人情報、そういうものが悪い人に奪われているんだよ」
悪い人たちがニャーちゃんを狂暴にさせたようなサイバー攻撃をしているなら、マジカルロジカルプリンセスが退治しないといけないわよね!
「うん……これは楽しみ! 世界をまたにかけたナゾを解くなんてわくわくするじゃない!」
「ものすごくポジティブなんだね。怖くはないのかい?」
怖いか……なんだかよくわからない。でも今は怖いより楽しいって気持ちが強いかな。
「ところで、そろそろきみの名前が知りたいな。名前を知らないと不便だろ。それとも内緒なのかい?」
そういえばわたしも名乗っていなかったな。でもどうやってわたしの家を調べたんだろう。警察だからできたのかな。
「四色愛花よ。四つの色に愛の花って書くの」
「四色愛花ちゃんか、可愛らしい名前だね。僕の名前は千里優海(せんりうみ)」
「優海(うみ)さんって呼んだらいいのかしら?」
「呼びやすいように呼んでくれればいいよ」
パトカーのサイレンが遠くから聞こえてくると、にこにこしていた優海さんの表情が一変する。急に凛として大人びた表情になった。
「予定より早く動いたようだな」
小学生のわたしにも事件が起こったんだって、ピリピリとした空気が伝わってきた。きっと言ってた強盗だよね。わたしに捕まえられるのかしら……。
「ちょっと! その指輪を取り返してくれ!」
玄関の前で話していると、羽のついた蝶みたいなロボットがわたしと優海さんの間を素早く通り過ぎていく。すぐにあっという間に見えなくなって夜の街へと消えた。スーツ姿の男性は息をきらせて追いかけていたんだけれど、がっくりとひざをついたわ。なんだかかわいそう。
「警察です。どうしたのですか?」
へぇ、優海さんってちゃんとお仕事してるんだ。でも子供がこんな時間に働いているのってどうなんだろう。そもそも、警察から頼られるほどの知識を持った中学生なんて漫画とかアニメの中でくらいしかみたことがないわよね。優海さんって、もしかしてすごい人なのかも。
「はぁはぁ、プロポーズしようって用意した婚約指輪を……あの変なロボットが、ふぅ、盗んで、いってしまって……」
よっぽど急いで追いかけたのかな。優海さんは男性からの話を聞くと無線機で仲間に連絡をとっていた。
「こちら、千里です。宝石店に向かっている途中、窃盗ロボットの被害にあった男性と遭遇……」
警察もののドラマとそっくりなセリフね! なんか本家をみると、おお、って思わず感激してしまった。
「あの、わたしが取り返してきます!」
男の人は黙って、まじまじと上から下までわたしの恰好を見ている。そうだよね。真っ白いマントにおしゃれな制服というかドレス姿だもの。警察にしては派手すぎるわ。
「この子はコンピューターの専門家なんです。ね?」
いじわるっぽい目でわたしを見ている。う、ここでそんなおだてるようなことを言われるとは……。
「驚きましたよ、アイドルが一日署長でもしているのかと思いました。わたくし、記者なもので」
えええ、アイドルだなんて! そんなこと言われたの生まれて初めてかも。でも、優海さんは笑いをこらえるのに必死みたいだ。
「まあ、マジカルロジカルプリンセスらしいですからね」
「プリンセス……ふむ、それにしても美男美女の組み合わせですねぇ」
優海さん、黒いジャケットとベージュのパンツのせいか男性に間違われている。確かに美男子。
凛々しい刑事姿は、まるでお姫様を守るナイトみたい!
⭐︎マナちゃんと優海さんのぬりえをしてみよう!⭐︎
「きっとわたしが婚約指輪は取り返して見せます!」
事件を解決しないと! 遊びに来たんじゃない。ナゾを解くためにここに来たのだ。
「ああ、僕もあとから行く。この辺はもう警察が包囲しているけど危険がないわけじゃないんだ。それにしてもあんな小さなロボットだったとは思わなかった。小さくても油断したらだめだよ。危険だと思ったらすぐに逃げるんだよ」
わたしとしては凶暴な怪獣ロボットの方が嫌だけどな。ま、流石にそれはないか。
四葉銀座ジュエリーと書かれたビルの周りにはすでに警察官が大勢いて、それをとり囲むかたちで、蝶の姿をした飛行ロボットが指輪を抱えて、いくつも宝石店の周りを飛んでいた。これが全部ハッキングされているなんてぞっとするわね。
警官は警棒と盾で応戦するものの、なにしろ相手の数が多すぎる。それに、小さすぎて攻撃が当たっていない。
「マナちゃん、どうするらに?」
「虫には虫よけスプレーがあるみたいにあいつらの注意をひきつけられたらいいんだけど……あ!」
「行くに決まっているじゃない。ナゾを解き明かすんだから」
「やる気はあるみたいだね。そうそう、ネコのロボットのウィルスが何かわかったんだ」
お姉さんは当たり前のように言っているけれど、わたしにはどうやってコンピューターウィルスの原因を突き止めたのか想像もつかない。
「逆探知をしたんだよ。今じゃそこいらじゅうに通信設備があるだろう。例えるなら……ゲームかな。どこにいても世界中の人とオンラインでつながれる。その対戦相手を調べるようなものさ」
「すごいね」
すごいとしか言いようがない。さすが警察!
「その犯人は今回の強盗と関係があるかもしれないんだ。この国はとても平和に見えるけれど世界中からサイバー攻撃を受けているんだ。僕たちのお金や個人情報、そういうものが悪い人に奪われているんだよ」
悪い人たちがニャーちゃんを狂暴にさせたようなサイバー攻撃をしているなら、マジカルロジカルプリンセスが退治しないといけないわよね!
「うん……これは楽しみ! 世界をまたにかけたナゾを解くなんてわくわくするじゃない!」
「ものすごくポジティブなんだね。怖くはないのかい?」
怖いか……なんだかよくわからない。でも今は怖いより楽しいって気持ちが強いかな。
「ところで、そろそろきみの名前が知りたいな。名前を知らないと不便だろ。それとも内緒なのかい?」
そういえばわたしも名乗っていなかったな。でもどうやってわたしの家を調べたんだろう。警察だからできたのかな。
「四色愛花よ。四つの色に愛の花って書くの」
「四色愛花ちゃんか、可愛らしい名前だね。僕の名前は千里優海(せんりうみ)」
「優海(うみ)さんって呼んだらいいのかしら?」
「呼びやすいように呼んでくれればいいよ」
パトカーのサイレンが遠くから聞こえてくると、にこにこしていた優海さんの表情が一変する。急に凛として大人びた表情になった。
「予定より早く動いたようだな」
小学生のわたしにも事件が起こったんだって、ピリピリとした空気が伝わってきた。きっと言ってた強盗だよね。わたしに捕まえられるのかしら……。
「ちょっと! その指輪を取り返してくれ!」
玄関の前で話していると、羽のついた蝶みたいなロボットがわたしと優海さんの間を素早く通り過ぎていく。すぐにあっという間に見えなくなって夜の街へと消えた。スーツ姿の男性は息をきらせて追いかけていたんだけれど、がっくりとひざをついたわ。なんだかかわいそう。
「警察です。どうしたのですか?」
へぇ、優海さんってちゃんとお仕事してるんだ。でも子供がこんな時間に働いているのってどうなんだろう。そもそも、警察から頼られるほどの知識を持った中学生なんて漫画とかアニメの中でくらいしかみたことがないわよね。優海さんって、もしかしてすごい人なのかも。
「はぁはぁ、プロポーズしようって用意した婚約指輪を……あの変なロボットが、ふぅ、盗んで、いってしまって……」
よっぽど急いで追いかけたのかな。優海さんは男性からの話を聞くと無線機で仲間に連絡をとっていた。
「こちら、千里です。宝石店に向かっている途中、窃盗ロボットの被害にあった男性と遭遇……」
警察もののドラマとそっくりなセリフね! なんか本家をみると、おお、って思わず感激してしまった。
「あの、わたしが取り返してきます!」
男の人は黙って、まじまじと上から下までわたしの恰好を見ている。そうだよね。真っ白いマントにおしゃれな制服というかドレス姿だもの。警察にしては派手すぎるわ。
「この子はコンピューターの専門家なんです。ね?」
いじわるっぽい目でわたしを見ている。う、ここでそんなおだてるようなことを言われるとは……。
「驚きましたよ、アイドルが一日署長でもしているのかと思いました。わたくし、記者なもので」
えええ、アイドルだなんて! そんなこと言われたの生まれて初めてかも。でも、優海さんは笑いをこらえるのに必死みたいだ。
「まあ、マジカルロジカルプリンセスらしいですからね」
「プリンセス……ふむ、それにしても美男美女の組み合わせですねぇ」
優海さん、黒いジャケットとベージュのパンツのせいか男性に間違われている。確かに美男子。
凛々しい刑事姿は、まるでお姫様を守るナイトみたい!
⭐︎マナちゃんと優海さんのぬりえをしてみよう!⭐︎
「きっとわたしが婚約指輪は取り返して見せます!」
事件を解決しないと! 遊びに来たんじゃない。ナゾを解くためにここに来たのだ。
「ああ、僕もあとから行く。この辺はもう警察が包囲しているけど危険がないわけじゃないんだ。それにしてもあんな小さなロボットだったとは思わなかった。小さくても油断したらだめだよ。危険だと思ったらすぐに逃げるんだよ」
わたしとしては凶暴な怪獣ロボットの方が嫌だけどな。ま、流石にそれはないか。
四葉銀座ジュエリーと書かれたビルの周りにはすでに警察官が大勢いて、それをとり囲むかたちで、蝶の姿をした飛行ロボットが指輪を抱えて、いくつも宝石店の周りを飛んでいた。これが全部ハッキングされているなんてぞっとするわね。
警官は警棒と盾で応戦するものの、なにしろ相手の数が多すぎる。それに、小さすぎて攻撃が当たっていない。
「マナちゃん、どうするらに?」
「虫には虫よけスプレーがあるみたいにあいつらの注意をひきつけられたらいいんだけど……あ!」



