《天使さま》から始まった

「さあ!みんな待ちくたびれちゃってるだろうから、私達も行こっ!」

 そんな重くなった空気を吹き飛ばすように彰子は明るく言ってカバンを持って立ち上がると歩き出す。

 多分、《天使さま》は山にあった「祠」のことを私に言いたくてあの場に呼んだんだろな、ってそんな気がする。

「美織?」 

 動かない私を心配そうに佳奈が肩に手を置いて顔を覗き込んでくる。

 慌てて笑みを作って「何でもない」と答えた。

「よーし、歌うぞ〜!」