《天使さま》から始まった

 びっくりしながら自分を指す私、砂山(さやま)美織(みおり)

「何故砂山まで?」

 佳奈は繋いでいた手に力が入れて、私を見下ろすと、

「先生方が望むことに必要だからです」

 先生達が望むことに私が必要、ってどういうこと?

 大田先生は考えていたようだったけど、

「砂山、お前も付いてこい」

 佳奈は私の手を引っ張って立ち上がらせる。

「じ、じゃあ行ってくるね」

 心配そうに見ている友達に安心させるように明るく手を振って、繋がれた手に引っ張られる形で二人の後に続いた。



 着いたのは会議室。

 大田先生が会議室の扉を開けると、そこには校長を始めとしたほとんどの先生達が揃っていた。

「失礼します」

 その異様な空間に物怖じすることなく佳奈は一礼して入っていく。

 私は二の足を踏んで動けないでいると、大田先生が安心させるように肩を二回叩いて促す。

 いや、でも完全に場違い感ハンパないんですけど!

「美織」

 佳奈は座った隣の椅子をポンポンと叩くと、座るように促される。

 あっ、はい。このまま回れ右はできないんですね。

 一礼して入ると指定された席に着く。