黒百合の女帝

 「お久しぶり〜。一ヶ月ぶりかな?どーよこの秘密基地は」

 「お久しぶりです。驚きましたよ、まさかこんなに綺麗だなんて。」

室内を見回しながら、世辞を言う。

ビル自体は老朽化していたが、ここは新品同然。

ダイニングテーブルが一つに、椅子が六つ。

黒いレザーソファ、その横にサイドテーブル。

他には、ホワイトボードやコピー機などなど。

壁際に連立された棚は、全て空だった。

その清潔感は、建物の古さと釣り合わない。

少し不自然に思うが、彼が勝手に答えてくれる。


 「家具とか壁紙はぜーんぶ新しく変えたんだ。ね?綺麗でしょ?」

同意を求めるような口振りに、口角を持ち上げる。

が、彼はいつもと違う表情を見せた。

大方、私の普段と違う笑い方に驚いたのだろう。

予想だと、彼はこの現象の訳を瞬時に理解する。

私はもう、彼の前で取り繕う気がないのだと。

 「では、席に着きましょうか。今から第一回麓冬幹部会議を始めますよ。」