黒百合の女帝

 30分後。展示生物を粗方見終わった後。

混雑気味の土産店に入り、商品を見て回る。

どれも商品価値とは釣り合わない高額だ。

側にあった縫い包みを掴み、嘲笑する。

綿を詰めただけのこれが3000円?笑わせる。

玩具を商品棚に戻し、ラクアの方へ近づく。


 「あれ、それピアス?」

彼が手に持つ、透明な水色のピアス。

ミズクラゲを模したそれは、お値段1700円。

同一品だが、イヤリングもあるそうだ。

そしてピアススタンドには、色違いのそれが。

 「このピンク色も可愛いね。ラクアはそれ買うの?」

そう尋ねると、彼は一回縦に頷く。

明らかに女性ものだが……まあ良いだろう。

 「じゃあ私がこれ買ったら、色違いになるね。」

そう言い、桃色のイヤリングを手に取る。

帰路に就く頃には、彼の耳元でピアスが揺れていた。