黒百合の女帝

 「言ったろ、個人的な用があって来たって」

 「あっ、そういえばそうだった!」

すっかり忘れていた僕に、ヨウが吹き出す。

そして鞄から、大きな袋を取り出した。

袋の口はリボンで閉じられている。

 「なあに?これ」

 「開けてみろ」

そう言いながら、僕に袋を渡してくるヨウ。

受け取ってみると、それは想像以上に重かった。

何かと期待しつつ、リボンを解くと……

 「わっ、これ全部チョコ!?」

 「タイミングがなくて、渡すのが遅れちまった。もう16日だ」

 「全然そんなのっ、ていうかこのチョコどうしたの!?」

 「それで幹部と他の奴ら全員分のチョコだ」

 「えっ!?嘘。これ、みんなから?」

 「ああ。お前の部下以外の奴からも沢山あったぞ」

ヨウの言葉を聞きつつ、中身を一つ取ってみる。

そのチョコには、優日よりと書かれた付箋が。

 「総長からだっ。しかもこれ、僕の大好きなチョコ!」

他にも知っている人からのチョコが沢山あった。

それを見ると、喜びよりも悲しみが勝つ。

僕はこんなにもみんなから好いてもらっている。

でも、僕は彼らを裏切り、敵に回したのだ。

このチョコたちは、受け取って良いのだろうか。