黒百合の女帝

 「ヤユ、少しは家片付けろよ〜」

 「ヨウの家だって似たようなもんでしょ」

ヨウを家に上げ、廊下を突き進む。

床には足の踏み場もないほど、物が落ちている。

が、ヨウは慣れたように家を進んで行った。

彼の家に比べれば、綺麗な方なんだろうな。

などと考えつつ、二人で向かい合って座る。

 「今日は個人的な用と、ヨシちゃんからのおつかい」

 「吉武先生が?なんかあったっけ」

僕とヨウは、一応クラスメイトでもある。

でも、僕は年に数回しか登校しない。

だから毎回、担任の伝言はヨウが頼んでくれる。

彼は鞄を漁り、レターセットを取り出した。

 「卒業式に来るかってさ。来るなら先輩にこれ書けって」

封筒と用紙を受け取りながら、首を横に振る。

 「卒業式は行かなくていいや。お世話になった先輩とかいないし」

 「まあそうだな。そのレターセット、欲しけりゃもらっていいって」

 「わかった。わざわざありがとうね」

僕の言葉に、ヨウが首を横に振る。

その時、なぜか彼の表情はにやけていた。