黒百合の女帝

 「好きだっ!ずっと、何年も前からお前のことが好きだ!」

後戻りを不可能にするため、大声で叫ぶ。

するとサクラは驚いたように目を見開いた。

そして、カーディガンの袖を引っ張る。

その動作は、後ろめたい時の癖だ。

長年の経験から、すぐに答えがわかった。

それでも、彼女の声が出る瞬間を待ち続けた。

サクラは俯き、後ろに下がるようにふらつく。

ようやっと出た声は、か細いうえ掠れていた。

 「ごめん……私、応えられない……ごめん。でも、ヨウのことが嫌いとかじゃないの」

両手でチョコを握り締め、そう話すサクラ。

その表情は前髪で隠れ、確認できなかった。

わかっていた。知っていた。覚悟していた。

なのに、どうにも嗚咽が溢れそうになる。