黒百合の女帝

 そう話しながら、鞄からチョコを取り出す。

その手は小刻みに震えていた。

箱を落とさぬように出し、彼女に突き出す。

顔が熱いのが気付かれぬよう、顔を背けた。

 「わあっ、おっきいね。ごめんね、私ちっちゃいの持って来ちゃった」

 「サクラっ、その……」

大声で名前を呼ぶと、サクラは再び首を傾げた。

視界の端で、サクラがきょとんとしている。

本当に言っていいのか。迷惑じゃないのか。

サクラが好きなのは俺じゃないのに……

心臓が大きな音を立て、喉が苦しい。

それでも、ここで言わなければ。

でなければ、一生言えない気がするから。