黒百合の女帝

 辿り着いたのは、使われていない空き部屋。

ここも他の部屋と同様、防音仕様になっている。

だから、誰かに告白を盗み聞かれることはない。

鍵を閉めると、サクラは困惑気味に首を傾げた。

 「えっと、草希くんはどこに……?」

 「ああ、実はそれ、嘘なんだ」

俺の言葉に、サクラは眉間にしわを寄せた。

なぜここに連れて来たのか、見当もつかない。

そんな気持ちが聞こえてくるようだった。

 「サクラ、今日はバレンタインデーだろ?」

 「あっ、そうそう。ヨウに渡すチョコがあるんだ。でも幹部室に置いて来ちゃったかも」

 「いや、まずは俺から渡したいんだ」

勇気を振り絞って、そう言う。

すると途端にサクラは表情を明るくした。

 「本当!?去年は二人でチョコまんをはんぶんこしたよね」

 「ああ……今年は、ちゃんと箱に入れて渡そうと思って」