黒百合の女帝

 「お待たせいたしました、ご注文の麻辣担々麺になります」

店に入り、注文から少し経った頃。

私の目の前に、赤い担々麺が置かれた。

湯気の立つそれは、ここの名物らしい。

写真を撮っていれば、ヤユの品も遅れて届く。

彼が頼んだのは、黒糖タピオカラテだった。

それも含めて一通り撮り終え、スマホを仕舞う。

ヤユも写真を撮った後、ラテを飲み出した。

 「どう、美味しい?」

頬杖を付き、ヤユに感想を求める。

すると彼は大きく頷き、親指を立ててみせた。

 「うん、すごくおいしいよ」

その返答に、表面上の笑みを返しておく。

無理に取り繕おうとしなくても良いのに。

抑揚のない感想に、胸中ではそう言い返す。

しかしまたしても素知らぬ顔をしておいた。

それにしても、この調子はいつ治るのだろうか。

担々麺を食べながら、溜息を飲み込んだ。