黒百合の女帝

 「ねえねえ、まず何から行く!?」

遊園地に着くなり、真っ先にヤユはそう言った。

返事をする前に、腕時計を一瞥する。

時刻は午後八時。腹も減る頃だ。

 「その前に夕食にしよう。ヤユ、食べれる?」

 「えっと……ちょっと食欲はないかな」

恥ずかしそうに笑うヤユに、溜息を漏らす。

そして近くの台湾カフェを指差した。

 「タピオカミルクティーなら飲めそう?」

そう尋ねると、ヤユの表情が明るくなる。

どうやら、飲み物ならば大丈夫なようだ。

 「あそこ大好きなお店!行こう行こう!」

満面の笑みを浮かべ、私の手を引こうとする。

が、彼の目線は途端に下がった。

様々な推測が浮かぶが、気付ぬふりをした。