窓を注視しながら話していれば、外にヤナギの姿が。

一目見て印象的だったのは、その服装。

黒のハイネックにフレアパンツ。

そして、彼が羽織るロング丈のトレンチコート。

それはメンズでは滅多に見ない、濃いワインレッドだった。

派手好きなハラも流石に驚いたのか、

 「うわぁ〜、俺なら無理だろうね。あれ着こなせるってスタイル神すぎない?」

と感嘆の声を上げている。全くの同感だ。

しかし、着飾ってきて正解だったな。

彼は、自信を服に反映させるタイプの様だから。


 「あれっ、待たせちゃってた?」

 「いえいえ、私たちも今来たばかりです。」

ドアベルが鳴り、例の男が姿を現す。

それに愛想笑いを浮かべ、軽い挨拶。

姿勢を整え、注文もせずに鼎談を始めた。

 「では、単刀直入に。例の件を受諾する事になりました。」

それを聴いたヤナギの顔付きは、特に変化なし。

頬杖を突き、相変わらず余裕そうな態度を取っている。