黒百合の女帝

 「もしラクアに恋愛感情を抱けたら、これを両耳に付ければ良いのね?」

 「ああ。約束だ」

 「うん。でも、水母も外しちゃって良いの?」

彼女はそう言い、ポケットから海月を取り出す。

二匹の内、本来は右耳に付ける筈だった片割れ。

どうやら、海月を気に入ってくれているようだ。

俺も愛着があるが、仕方がない。

海月はユリを、友人と捉えていた頃に買った物。

だからこそ、花の耳飾りには別の思い出を込めたい。

ユリと両思いになった時のイヤリング、と。

当然、今のをそのまま伝えることはできない。

なので、重くなりすぎないように答えておく。

 「海月のイヤリングだって、捨てる訳じゃないからな」