黒百合の女帝

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 「カップルシートとか初めて!ふかふかで気持ち〜。」

なぜ、俺の横でユリが寝転んでいるのか。

鑑賞する前から、既に動悸が可笑しい。

俺の認識では、天象儀は座席で見る物の筈。

なのになんだその名称は。カップルシート?

なぜ彼氏とではなく、俺と利用するのか。

というように、脳内にわざと疑問を敷き詰める。

それは現状から気を逸らす為だったのだが。

彼女はそれを許してはくれなかった。

 「ねえラクア。この隣にね、プラネタリウムカフェがあるんだよ!見終わったらそこに行こうよ。」

その提案に返事をしたかったが、声が出せない。

代わりに頷くだけの俺に、ユリがやや言い淀む。