黒百合の女帝

 それから四日が経った、12月25日金曜日。

転寝をしていれば、校舎中が騒々しくなった。

何かと時刻を確認すれば、16時を過ぎている。

もう帰宅の時間か。

スマホを仕舞い、軽い鞄を持ち上げる。

さてと、深夜までどう時間を潰すか……

 「ラクアっ!」

 「え……」

聞き慣れた声と、漆黒の綺麗な眼。

それらを捉えた瞬間、間抜けな声が漏れる。

黒崎百合が、自ら昼休憩以外に現れた。

それは、ここ二ヶ月の間で初めてのこと。

狼狽が隠せず、思わず階段から落ちかける。

それでも、なんとか冷静を繕ってみせた。

 「急いでどうしたんだ?ユリ」

 「あっ、えっとね。これから時間、ある?」

伺うように尋ね、小首を傾げるユリ。

珍しく必死な様子の彼女に、期待してしまう。

俺のために、息を切らしてくれたのだろうか。

先日、嫌という程わからされた筈なのに。

カヤと彼女の間に、入り込む隙などないと。

これ以上、彼女に振り回されたくない。

だから、断らなきゃいけない。断れ。断るんだ____