黒百合の女帝

楽亜side

 あの二人は、本当に恋人関係にあるのか。

俺が見た限り、そうには見えない。

まず、カヤは喧嘩となってもユリを守らない。

俺とユリを組ませ、その責務を預けてくる。

次に、双方に恋人らしい言動が見受けられない。

人前で見せたくないだけかもしれないが。

とにかく、二人の距離が妙なのは確かだ。

ということで、二人を尾行することにした。

もし彼らが、恋人同士でなかったのなら……

そんな期待を込めての行動だった。


 ビルから出た二人の影を、後から追う。

ハラお手製の前髪を崩し、目元も隠しておいた。

フードを被るのは、逆に怪しいかもしれない。

そう思い、フードの代わりにマスクを装着。

暫く尾行していれば、カヤがコンビニに入った。

ユリは奴を待つようで、ベンチに座っている。

俺はツリーに隠れることにし、奴の再来を待つ。

すると五分もせず、カヤは店から出てきた。

再び歩き出した二人に合わせ、俺も付いていく。