黒百合の女帝

 などと、最初こそ憂鬱だった。

しかし歩く間のユリさんは、とても饒舌だった。

しかも話し上手で、自然と俺の口数も増える。

終始話に夢中で、移動はあっという間だった。

 「ここのパスタ、美味しいんだよ。」

と言う彼女に従い、洒落たカフェに入る。

店内は落ち着いた雰囲気で、夕食にはぴったり。

席に着いてから、入り口をさりげなく注視する。

すると、俯き気味の少年が一人で入って来た。


 マスクと前髪で分かりにくい、が……

あの様子は、ラクアで間違い無いだろう。

無知を装うため、彼から視線を外す。

それからおよそ10分後。

手前に置かれたパスタに、手を合わせる。

そして食い始めると、それは想像以上に美味い。

黙々と食べていれば、ユリさんが笑い掛けてくる。