黒百合の女帝

 冷徹な返事に、調子が何度も狂わされる。

僕の慌てように対し、彼女は至って冷静。

もう、あの頃には戻れないのかも。

そんな予感が脳裏をよぎる中、言葉を紡ぐ。

 「あの日は……本当にごめんなさい」

 『別に。それだけ?切るけど。』

 「あっ、あの!もう一つあって……今度、ユリちゃんと会いたいなって」

そう言うと、彼女は黙り込んだ。

そしてため息を一つつき、曖昧な返事をする。

 『気が向いたら。じゃあ切るね。』

待って、と叫ぼうとした。

しかしその前に、機械音が通話終了を知らせた。

しばらく夢心地が続き、現状の整理が遅れる。

気が向いたら、気が向いたら?

それって、会えるってこと……なのかな?

真っ暗な画面を眺めながら、首をかしげる。

一応、約束は取りつけられた……よね。