黒百合の女帝

 「そんなに驚かなくてもいいのに。大丈夫?」

 「えっ。ああ、うん。大丈夫だよ」

 「ならよかった。プリン食べる?300円もする高級品だよ〜?」

そう話す彼女の手元には、小さいプリンが二つ。

好物であるそれに目を輝かせ、激しく頷く。

 「それ大好き!本当に食べていいの?」

 「全然おっけーだよ。一緒に食べよ」

 「ありがとう。じゃあ、遠慮なくいただいちゃうね」

彼女からスプーンも受け取り、いざ実食。

上機嫌でプリンを食べれば、思わず溢れる笑み。

 「やっぱりおいし〜。ありがとう、サクラちゃん」

 「ううん!また買ってくるからね!」


 彼女がそう返事をして以降、場を満たす沈黙。

うーん……気まず〜

黙々とプリンを食べ進めながら、サクラちゃんを盗み見る。

やっぱり、悪い子とは思えないんだけど……

でも、もし本当にユリちゃんが冤罪だとしたら?

サクラちゃんが誤解している、もしくは。

サクラちゃんは、嘘をついている……

手元を眺めていれば、思考は渦にのまれていく。

もう僕の大好きなユリちゃんはいない。

ここにあるのは、居た堪れなさだけ。