黒百合の女帝

 そこまで考え、むりやり思考を切り替える。

そういえば、未だ残る疑問が一つ。

顔を上げ、周囲を軽く見回す。

皆、一様に怒ったり怖がったりといった様子。

麓冬は八人しかいないのに、どうしたのか。

あの時のお兄ちゃんの言葉も変だったし……

不可解な要素に首を傾げ、試しに訊いてみる。

 「お兄ちゃん、なんで小さい族の情報なんかが欲しいの?」

そう尋ねれば、兄は躊躇う素振りを見せた。

が、観念したように渋々口を開く。

 「逆に、レントはどう考えているんだ」

 「えっ、と……カケルのう、脱退が許せないから……とか?」

裏切りと言い掛けたが、やはり言い直した。

カケルは、何一つ悪くないから。

でも、そんな彼への信用も今、打ち砕ける。

 「それもあるが……じゃあ、なぜここ最近、ここに来ない奴が多いと思う?」

 「え?みんないつも通り遊んでるんじゃないの?」

 「あいつらは病院で療養中だよ」

 「……えっ?」