黒百合の女帝

 手を叩いたのは、ここの総長だった。

ついでに僕の名前まで呼ばれ、嫌な予感が。

そんな予感は無視し、ステージの方へ近づく。

 「お兄ちゃん?どうしたの?」

 「レント、今日の収穫は?」

その言葉を聞いた途端、背筋が凍りつく。

今まで自然に笑えてた筈なのに、表情がぎこちなくなる。


 やっぱり、嫌な予感は的中してしまった。

乾いた喉を潤すため、唾を飲み込む。

みんなの視線を浴びながら、口を開けた。

 「今日は……麓冬には姫がいるって、聞いたかな」

歯切り悪くそう返すと、周囲はざわつく。

対して総長は口を開けず、顎に手を添えた。

かと思えば、僕の髪をぐしゃぐしゃに乱す。

 「よくやったな。流石、俺の弟なだけある」

そう褒められ、胸を占めたのは喜びと罪悪感。

麓冬のみんなや、カケルを僕は売ったんだ。

払った犠牲を考えると、素直には喜べなかった。