黒百合の女帝

蓮人side

 やっぱり、この辺りは苦手だなぁ。

ド派手な広告が立ち並ぶ繁華街の中。

猫背で俯き、飲み屋のキャッチは避けて歩く。

自分みたいなド陰キャが通う場所じゃない。

それはこの街に未だ慣れないことで証明済み。

溜息を吐けば、突如として体に伝わる衝撃。

うわっ、と小さく声を上げ、たたらを踏む。

何かと顔を上げれば、そこには一人の女の人が。

 「あっ、すみません!大丈夫ですか?」

 「ああ、はい大丈夫です。こちらこそごめんなさい。」

綺麗な女性は、そう言うや否や去っていく。

大学生かな。次からは前を見て歩かないと……

沈んだ気持ちを持ち直し、再び歩き出す。