黒百合の女帝

 ……出てきた。

その翌日の土曜、午前零時頃。

雑居ビルの物陰に隠れ、連絡を待つ。

暫く経った頃、カヤから一件のメールが。

『カケルとレントが今から帰る』

質素な文を読み、隣の少年に告げる。

 「出るって。準備して。」

 「わかった」

彼はそう言うと、帽子を深く被った。

私も髪を結い、表に出てみる。

すると丁度、標的が中から出てきた所だった。

彼らに気付かれぬよう、そっと跡をつける。


 彼らの会話の内容は聞き取れなかった。

物陰に隠れながら、見失わぬよう注意する。

身をかがめていれば、突然二人が立ち止まった。

かと思えば、互いに片手を軽く振り始める。

別々に行動するのか……。

 「私は紫の方を追う。そっちは金髪を追って。」

 「わかった。いつ帰ってこればいい?」

 「証拠が掴めたら。じゃあね。」

彼にそう言い残し、根暗の方を追い掛ける。

さてと、裏切り者はどちらなのか。