話すなら早い方がいいと判断して、私たちはすぐに病室に戻った。
先生の体調も気がかりだったけど、もうすぐ退院できると聞いて安心した。
「穂鷹社長が……? ううむ、にわかには信じがたい」
経緯を話すと、安浦先生はベッドの上で腕を組んだ。
そうだ、裕貴は編集時代、先生の担当をしていた時期がある。私よりも、ずっと付き合いが長いはずだ。いくら私が裕貴の悪行を訴えたところで、そう簡単に信じてもらえるはずがない。
どうすればいいだろうか、と考えていた時、タイミングがいいのか悪いのか、裕貴からスマホメッセージが来た。
私は桐人さんと顔を見合わせると、桐人さんは無言で頷いた。
波打つ心臓を押さえ、覚悟を決めてメッセージを開く。
『いい加減、連絡しろ。どこにいるんだ?』
『退職届は受理できないぞ。戻ってこい』
予想通りの文言を見て、深くため息をつく。
桐人さんが心配そうにこちらを見ていたが、私は首を振った。
「大丈夫です。自分で返します」
震える指で文字を打ち込む。
『原稿を破ったこと、謝ってくれますか?』
送信ボタンを押す瞬間、胸が締めつけられた。
数秒後、返ってきたのは冷たい文字列だった。
『原稿を破ったことと、仕事は別問題だ。それに、あれはおまえが悪いんだろう』
その瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れた。
しかし桐人さんは、したり顔をしている。
そうか、これを安浦先生に見せれば……。
私はその画面を安浦先生の前に差し出す。
「……これが、あの人の答えです」
「なんということだ……」
安浦先生はしばらく考えたのち、深刻な表情でうなずいた。
「そういうことなら、私も協力しよう」
先生の体調も気がかりだったけど、もうすぐ退院できると聞いて安心した。
「穂鷹社長が……? ううむ、にわかには信じがたい」
経緯を話すと、安浦先生はベッドの上で腕を組んだ。
そうだ、裕貴は編集時代、先生の担当をしていた時期がある。私よりも、ずっと付き合いが長いはずだ。いくら私が裕貴の悪行を訴えたところで、そう簡単に信じてもらえるはずがない。
どうすればいいだろうか、と考えていた時、タイミングがいいのか悪いのか、裕貴からスマホメッセージが来た。
私は桐人さんと顔を見合わせると、桐人さんは無言で頷いた。
波打つ心臓を押さえ、覚悟を決めてメッセージを開く。
『いい加減、連絡しろ。どこにいるんだ?』
『退職届は受理できないぞ。戻ってこい』
予想通りの文言を見て、深くため息をつく。
桐人さんが心配そうにこちらを見ていたが、私は首を振った。
「大丈夫です。自分で返します」
震える指で文字を打ち込む。
『原稿を破ったこと、謝ってくれますか?』
送信ボタンを押す瞬間、胸が締めつけられた。
数秒後、返ってきたのは冷たい文字列だった。
『原稿を破ったことと、仕事は別問題だ。それに、あれはおまえが悪いんだろう』
その瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れた。
しかし桐人さんは、したり顔をしている。
そうか、これを安浦先生に見せれば……。
私はその画面を安浦先生の前に差し出す。
「……これが、あの人の答えです」
「なんということだ……」
安浦先生はしばらく考えたのち、深刻な表情でうなずいた。
「そういうことなら、私も協力しよう」



