【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。

 桐人さんはそう言って、引き出しから何かを取り出した。
 それは、きれいに折り畳まれた女性もののハンカチだった。
 あの時、安浦先生に差し出したものだ。

「これは……」
「あの時のハンカチです。いつかお返ししようと思って」
「あ、ありがとうございます」
「ぷっ……なんで真宮さんがお礼を言うんですか」

 笑われてしまって、恥ずかしくなる。でも、いつ再会できるかわからないのに、こうしてずっと保管していてくれたなんて。胸の奥が、ほんのりあたたかくなった。
 
「あと、合鍵を渡しておきます」
「あ、合鍵!?」

 桐人さんは、カードキーを差し出してきた。
 そういえば、さっき和風の家なのにカードキーだって驚いてたところだった。
 
「はい。僕はいつも仕事で遅くなるので……。真宮さんの都合のいい時にいつでも来てください。父の書斎には入らないように。洗濯室とキッチンは自由に使ってください」

 桐人さんが洗濯室にある引き戸を開けると、キッチンに続いていた。
 
「じゃあ、僕はまだ仕事があるので、会社に戻りますね。よろしくお願いします」
「は、はい。任せてください!」

 背筋を伸ばして返事をした。