【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。

「いやなに、タイミング悪く家政婦さんが休暇中でね……」
 
 たしか安浦先生は早くに奥様を亡くされて……家のことで困っているのだろうか?
 
「僕も仕事で頻繁に来れるわけじゃないし、他の家政婦さんを頼もうか?」
「駄目だ。杉田さん以外は信用できん。私の書斎に入られでもしたら……」

 先生の気難しい性格は、こういうところなのかもしれない。
 気づけば、私は小さく手を挙げていた。
 
「あの……。私でよろしければ、お手伝いしましょうか?」

 自分なら信用に値する人間です、なんて言うつもりはないけれど。
 断られるのを覚悟で申し出てみた。
 
「それはありがたいが、いいのかね? 君も仕事があるのだろう?」
「作家のケアも仕事のうちです! 何か困ったことがあったら、何なりと!」

 胸を張って答えると、先生と息子さんは顔を見合わせる。
 
「じゃあ……頼もうかね。早速だが、今日の分の洗濯物をお願いしたい」
「わかりました」
 
 紙袋に入った洗濯物を受け取った。
 うちで洗濯してくれば大丈夫かな?