▽
肩に入っていた力がぬけて、身体が軽い。
イメージ通りのプレーができて、おもしろいくらいシュートが決まる。
今日の自分は、調子がいい。
プレーとは裏腹に、黒川の心は不思議なほど凪いでいた。
血が沸騰するような感覚を覚えたのは、試合終了三秒前。二人の選手が、壁のように黒川の前に立ちはだかった時だった。
この壁をこじあけてやりたい!
そんな欲求が、頭の中を支配する。
「黒川!」
その声が耳に届いたのは、いつも聞いていた号令と同じものだったからだ。
部長がフリーなことには、気付いていた。
だけど、自分以外の人間にボールを託して、そいつが外せば、試合に負けてしまう。
仲間なんて、いつだっておれの足を引っ張るだけだ……。そう思って、部長から目をそらそうとした時。目に入ったのは、黒いシューズのつま先。
スリーポイントラインのギリギリにあるそれは、マネージャーのゆいが、約束通りに運んできてくれたものだった。
……見つけるなんて、気休めの言葉だと思ってた。
だけどゆいは、黒川との約束を守って、本当にシューズを見つけてくれた。
ベンチからは、ゆいをふくめた一年生や先輩たちの声がする。
よみがえたのは、いつかの部長の言葉だった。
『黒川、チームメイトは敵じゃない』
その意味が、あの時は分からずにいた。
だけど、
「黒川だ!あいつはこの場面で、絶対にパスしない!」
栗林の言葉に、ふっと笑みがこぼれる。
たしかに、そうだろうな。
……今までのおれなら。
「部長!」
信じて託したボールは、部長の手に渡った。
「なっ、パス……⁉︎」
だれもが目を見開いていて。だけど、ボールを受け取った部長だけは、それを疑わず、シュートフォームに入る。
「クソッ……!」
あわてて飛び出した相手選手は、フェイントに引っかかる。
試合終了のブザーと同時に放たれたシュートが、勝利を決めた。
肩に入っていた力がぬけて、身体が軽い。
イメージ通りのプレーができて、おもしろいくらいシュートが決まる。
今日の自分は、調子がいい。
プレーとは裏腹に、黒川の心は不思議なほど凪いでいた。
血が沸騰するような感覚を覚えたのは、試合終了三秒前。二人の選手が、壁のように黒川の前に立ちはだかった時だった。
この壁をこじあけてやりたい!
そんな欲求が、頭の中を支配する。
「黒川!」
その声が耳に届いたのは、いつも聞いていた号令と同じものだったからだ。
部長がフリーなことには、気付いていた。
だけど、自分以外の人間にボールを託して、そいつが外せば、試合に負けてしまう。
仲間なんて、いつだっておれの足を引っ張るだけだ……。そう思って、部長から目をそらそうとした時。目に入ったのは、黒いシューズのつま先。
スリーポイントラインのギリギリにあるそれは、マネージャーのゆいが、約束通りに運んできてくれたものだった。
……見つけるなんて、気休めの言葉だと思ってた。
だけどゆいは、黒川との約束を守って、本当にシューズを見つけてくれた。
ベンチからは、ゆいをふくめた一年生や先輩たちの声がする。
よみがえたのは、いつかの部長の言葉だった。
『黒川、チームメイトは敵じゃない』
その意味が、あの時は分からずにいた。
だけど、
「黒川だ!あいつはこの場面で、絶対にパスしない!」
栗林の言葉に、ふっと笑みがこぼれる。
たしかに、そうだろうな。
……今までのおれなら。
「部長!」
信じて託したボールは、部長の手に渡った。
「なっ、パス……⁉︎」
だれもが目を見開いていて。だけど、ボールを受け取った部長だけは、それを疑わず、シュートフォームに入る。
「クソッ……!」
あわてて飛び出した相手選手は、フェイントに引っかかる。
試合終了のブザーと同時に放たれたシュートが、勝利を決めた。

