春ヶ丘中学校男子バスケ部〜マネージャーになんてなりません⁉︎〜


月明かりと街灯に照らされた住宅街。
並んで歩く私と黒川は、微妙な距離感だ。
き、気まずい……!
ううっ……。部長ってば、なんで急に黒川と二人で帰れなんて言い出したんだろう。
となりを歩く黒川は、田代くんとのことが尾を引いているのか、見るからにふきげんだ。
たぶん、女の子が夜道を一人で歩くのは危ない、ってことだろうけど……。
今の黒川のほうが、よっぽど怖いよ……!
ちらっと表情をうかがうと、その眼光は相変わらずの鋭さ。
猛獣の檻にでも、ぽんと放り込まれた気分だ。
そんな黒川と二人っきりにするなんて。部長ってば、やっぱり鬼だ……!
ちょっとでもいい人って思った自分が、バカみたいだよ!
心の中で嘆きつつ、
「く、黒川も、こっち方面だったんだね……」
なんとか状況を打開しようと、ひきつった笑顔で話しかけてみる。だけど、
「……」
黒川ってば、完全に無視だ……!
幽霊にでもなった気分で、さすがにへこむ。
だけど、歩くペースは私に合わせて落としてくれてるんだよね……。
悪い子では、ないんだと思う。
部長に私のことを送れって言われた時も、いやそうな顔はしてたけど、断らなかったし……。
黒川と一緒に帰れって言われた時は、気まずくて逃げ出したいって思った。今も、黒川が発する怒りのオーラが怖くて、ビビっちゃってはいるけど……。
黒川の話を聞く、絶好のチャンスだ。
……ずっと、気になってた。
どうして黒川は、あんなにもかたくなに"チームメイトにパスを出さないのか”って。
その理由は、ほかの一年生が自分と比べてバスケの実力が劣るから、ってだけじゃないはずだ。
だって黒川は、小学生の時の大会では、味方にパスを出していたから。
その黒川が、仲間を“拒絶”するようになったのは、どうしてなんだろう?
黒川が、私に本音を話してくれるかは分からない。
だけど、何も行動を起こさないまま、チームがバラバラになってしまうよりマシだ。バクバクと脈打つ心臓を落ち着け、
「あのね、黒川」
意を決して、尋ねようとした時、
「わっ⁉︎」
どんと、前から来たなにかと思いっきりぶつかった。
いったぁ……。
涙目になり、じんじんする鼻を押さえていると、
「いってぇ……」
「えっ、わっ⁉︎ごめんなさい!」
人だった……!
あわてて謝った先には、黒地に赤いラインのジャージの男の子たち。四人いて、歳は私たちと同じくらいだ。
「チッ。カップルかよ……」
私の顔を見て、イラついたように言った男の子は、そのとなりにいた黒川に視線を移す。
その目が見開かれ、
「なんだ、黒川じゃねえか」
浮かべた笑みが、意地悪くゆがんだ。
「てめぇ……!」
瞬間、黒川が今までの比にならないほど殺気立つ。
え……?この男の子、黒川の知り合い?
というか……。今にもケンカになりそうな、バチバチの空気なんですけど⁉︎