恐怖病院

渚ちゃんがいなければここまで来ることはできなかった。
友達を助けたいと思っても、きっと怖くて勇気がでなかった。

それなのに!
「いいかげんにしろ!」

パンッと音がひびいて頬を痛みが走った。
ハッとして顔を上げると貴也が自分の右手をさすっている。

ジンジンとした痛みが頬に残り、叩かれたのだということがわかった。
そのショックで涙は引っ込んでしまった。

「俺は渚ちゃんを見捨てたわけじゃない、助けるために出口に走ったんだ!」
貴也に言葉に我に返った。

そうだ。
無事に脱出すれば全員が助かる。
それを渚ちゃんは信じていた。
だからああやって自分から犠牲になれたんだ。