それは誰になるのか啓太くんは考えていたんだと思う。
単純に、この中で一番小さくて力が弱い渚ちゃんが犠牲になることは想像ついた。

あとはアンナちゃんとふたりで鏡の中のお化け屋敷から脱出する方法を考えるだけでよかった。
『武器を持ってここから出よう』

啓太くんは貴也と同じように倉庫内にあったモップを握りしめて、外へ出たのだった。
それから先、啓太くんはとても勇敢だったらしい。
率先してふたりを守りながら歩いて行く。

少しカッコイイなと思ってしまうくらい頼りになった。
『今日の啓太くん、カッコイイね』
アンナちゃんもそう思っていたようでこそっと耳打ちをしてきた。