「……あぁ! すみません、うちの部下が! これは私の責任です!」



 不愉快な部長の声が脳内に響き渡る。……聞きたくない。心なしか嬉しそうな声色が恐ろしい。


 周りが少しずつざわつくのを肌で感じた。耳はぼーっとして、全然声は入ってこなくて。


 調子の良い部長の言葉が会議室内を支配する。染みついた諦め癖とネガティブ思考が駆け巡る。



 「今からでも遅くはありません。ここは、名取ではなく別の男性社員をメンバーにするべきで──」



 部長の口から飛び出す言葉、すらすらと連なってゆく。まるで、ストーリーが部長の思い描いていたもののようで。


 女性社員の活躍を嫌う、部長の思うツボのような気がしていて。わたしのミスだ。途端に自信が持てなくなって。



 「……とりさん……名取さん」


 やっぱり、わたしなんて──……


 「……──叶南!!」