「……手、出さないんじゃなかったの」 「出してるうちに入らない」 「もし、わたしが柊のこと好きになったらどうするの」 「……なりなよ」 「……え?」 「なって」 ぱっと見上げる。視線が絡み合って固結びみたいになって、ほどけない。さきほどわたしの頭を撫でた左手が頬に触れた。 「叶南、俺は──」