さてさて……今日は寝る前にやることが沢山ある。
まずは、今日の反省会。
それはやっぱり、ハンドボール投げで一番の記録を作っちゃったこと……一番になっちゃダメって決めたのは私だったのに……
でも、アバター★ミーはまだ消えていない。こうなると、ますますアプリ削除の『条件の達成』って何だろうってことになる。達成って言うくらいだから、何かで一番になるとか、目標を達成しちゃうことだとは思うんだけど。
そう言えば、私の目標って何だろう……?
桐島くんたちみたいな、イケてるグループに入ること……?
それとも、SNSを賑わせているキレイなお姉さんみたいになること……?
そんな事を考えているうち、交換日記を開いたまま眠りに落ちてしまった。
***
うそっ!!
翌朝、スカートを穿くと腰回りがゆるくなっていた。
鏡を覗き込むと、自分でも少し細くなったのが分かる。元からクリクリしていた目も、幾分強調されて見えるような気がする。
今日の私は、【ルックス】8【運動神経】10【頭の良さ】10。
ルックスを7にするか8にするかで迷ったけど、たった1の違いでも随分とキレイに見える。でもこれくらいの違い、気付くのはお母さんか琴音くらいのものだろう。
案の定、お母さんには「痩せた?」と聞かれ、琴音も同じことを聞いてきた。
「おはよう、志帆! やっぱり痩せたよね? 制服着てると、昨日よりよく分かる。——それより大丈夫? ご飯はちゃんと食べてる?」
こんな時にでも私のことを心配してくれる琴音。そういや、昨日は交換日記を書かずに眠ってしまった。
「ごめん、昨日は日記書かずに眠っちゃったの。でも、琴音の日記は読んだよ! 時雨くんのイラスト、上手すぎて笑っちゃったもん!」
時雨くんとは、サブカル系Yo!Tuberのメンバーの一人。琴音はこの、時雨というメンバーに熱を上げている。
「昨日は体力測定だったし、そりゃ疲れちゃうよ。一日書けないくらい、仕方ないって。——それより、上手く描けてたでしょ、時雨くんのイラスト!」
琴音は、満面の笑みを浮かべてそう言った。
***
昼休み中、ご飯を食べ終えると、佐伯くんが私と琴音の元へとやってきた。ちなみに佐伯くんとは、桐島くんたちといつも一緒にいる陽キャグループの一人。小顔に涼し気な目が、印象的な彼。先生には注意されないのか、髪の毛をアッシュカラーに染めている。
「ちょっといいか……?」
私たちに、一体何の用だろう? 私と琴音は顔を見合わせた。
「う、うん、もちろん」
佐伯くんの遠く向こうには、桐島くんたちが見える。佐伯くんに向けて「ゴーゴー!」と言って拳を上げている。
え……? もしかして私たち、罰ゲームなんかのターゲットにされてる? そんなことがチラッと頭をよぎったが、佐伯くんから出てきた言葉は意外なものだった。
「近々、体育祭あんじゃん? で俺たち、2年2組の応援団やるんだけどさ。その時に使う、応援旗ってやつ? 白石、描いてくんねーかなって」
「わっ、私が!?」
「そうそう。標語ポスターで、いつだか賞取ってたじゃん。あの擬人化したキャラクター、上手いなってずっと思ってて。——で、あのタッチで応援団やる俺たちの絵描いて欲しいなって」
「凄いじゃん、琴音! やりなよ!」
琴音は「どうしよう!」と言いながら、頬を赤らめた。
「でっ、でも、応援旗って結構大きいよね……? 私あんな大きなの描いたことないし。一人で描き切れるか、自信ないかも……」
「何言ってんだよ。俺は手伝うつもりだし、相川も手伝ってくれるだろ? 相川も絵上手いもんな。3人なら、充分間に合うと思うぜ」
さ、佐伯くんと私たちで……!? 何なの、この展開!! それより、佐伯くんは琴音だけじゃなく、私の絵のことも憶えてくれてたんだ。
「——じゃ、じゃあ、やってみる私」
琴音がそう言うと、佐伯くんは桐島くんたちをこの場に呼び寄せた。
「白石、やってくれるって!」
「マジか!! いやー、助かる! これで応援旗は安心だな!!」
そう言って、桐島くんは佐伯くんの肩をポンと叩いた。
今この場にいるのは、桐島玲央くん、佐伯翔くん、姫川莉奈さん、水野楓さんの陽キャグループ。そして、私と琴音。
アバター★ミーだけじゃなく、どんどん私の周りが充実していっちゃう!!
この流れ、一体どうなってんの!!
まずは、今日の反省会。
それはやっぱり、ハンドボール投げで一番の記録を作っちゃったこと……一番になっちゃダメって決めたのは私だったのに……
でも、アバター★ミーはまだ消えていない。こうなると、ますますアプリ削除の『条件の達成』って何だろうってことになる。達成って言うくらいだから、何かで一番になるとか、目標を達成しちゃうことだとは思うんだけど。
そう言えば、私の目標って何だろう……?
桐島くんたちみたいな、イケてるグループに入ること……?
それとも、SNSを賑わせているキレイなお姉さんみたいになること……?
そんな事を考えているうち、交換日記を開いたまま眠りに落ちてしまった。
***
うそっ!!
翌朝、スカートを穿くと腰回りがゆるくなっていた。
鏡を覗き込むと、自分でも少し細くなったのが分かる。元からクリクリしていた目も、幾分強調されて見えるような気がする。
今日の私は、【ルックス】8【運動神経】10【頭の良さ】10。
ルックスを7にするか8にするかで迷ったけど、たった1の違いでも随分とキレイに見える。でもこれくらいの違い、気付くのはお母さんか琴音くらいのものだろう。
案の定、お母さんには「痩せた?」と聞かれ、琴音も同じことを聞いてきた。
「おはよう、志帆! やっぱり痩せたよね? 制服着てると、昨日よりよく分かる。——それより大丈夫? ご飯はちゃんと食べてる?」
こんな時にでも私のことを心配してくれる琴音。そういや、昨日は交換日記を書かずに眠ってしまった。
「ごめん、昨日は日記書かずに眠っちゃったの。でも、琴音の日記は読んだよ! 時雨くんのイラスト、上手すぎて笑っちゃったもん!」
時雨くんとは、サブカル系Yo!Tuberのメンバーの一人。琴音はこの、時雨というメンバーに熱を上げている。
「昨日は体力測定だったし、そりゃ疲れちゃうよ。一日書けないくらい、仕方ないって。——それより、上手く描けてたでしょ、時雨くんのイラスト!」
琴音は、満面の笑みを浮かべてそう言った。
***
昼休み中、ご飯を食べ終えると、佐伯くんが私と琴音の元へとやってきた。ちなみに佐伯くんとは、桐島くんたちといつも一緒にいる陽キャグループの一人。小顔に涼し気な目が、印象的な彼。先生には注意されないのか、髪の毛をアッシュカラーに染めている。
「ちょっといいか……?」
私たちに、一体何の用だろう? 私と琴音は顔を見合わせた。
「う、うん、もちろん」
佐伯くんの遠く向こうには、桐島くんたちが見える。佐伯くんに向けて「ゴーゴー!」と言って拳を上げている。
え……? もしかして私たち、罰ゲームなんかのターゲットにされてる? そんなことがチラッと頭をよぎったが、佐伯くんから出てきた言葉は意外なものだった。
「近々、体育祭あんじゃん? で俺たち、2年2組の応援団やるんだけどさ。その時に使う、応援旗ってやつ? 白石、描いてくんねーかなって」
「わっ、私が!?」
「そうそう。標語ポスターで、いつだか賞取ってたじゃん。あの擬人化したキャラクター、上手いなってずっと思ってて。——で、あのタッチで応援団やる俺たちの絵描いて欲しいなって」
「凄いじゃん、琴音! やりなよ!」
琴音は「どうしよう!」と言いながら、頬を赤らめた。
「でっ、でも、応援旗って結構大きいよね……? 私あんな大きなの描いたことないし。一人で描き切れるか、自信ないかも……」
「何言ってんだよ。俺は手伝うつもりだし、相川も手伝ってくれるだろ? 相川も絵上手いもんな。3人なら、充分間に合うと思うぜ」
さ、佐伯くんと私たちで……!? 何なの、この展開!! それより、佐伯くんは琴音だけじゃなく、私の絵のことも憶えてくれてたんだ。
「——じゃ、じゃあ、やってみる私」
琴音がそう言うと、佐伯くんは桐島くんたちをこの場に呼び寄せた。
「白石、やってくれるって!」
「マジか!! いやー、助かる! これで応援旗は安心だな!!」
そう言って、桐島くんは佐伯くんの肩をポンと叩いた。
今この場にいるのは、桐島玲央くん、佐伯翔くん、姫川莉奈さん、水野楓さんの陽キャグループ。そして、私と琴音。
アバター★ミーだけじゃなく、どんどん私の周りが充実していっちゃう!!
この流れ、一体どうなってんの!!



